ちーオシは、令和6年に岐阜県で開催された「清流の国ぎふ」文化祭2024(第39回国民文化祭 第24回全国障害者芸術・文化祭)の開催機運醸成のために実施した県民運動です。
住民協働で地域のイチオシの文化である「推し」を選出し、その推しを行灯型のオブジェ「ちーオシスタチュー」として作り上げ、文化祭の開会式に持ち寄って披露するアートプロジェクトで、文化祭後も、地域活性化につながり、人々の交流の輪がつながっていくことを期待して実施しました。
活動は、始めに県内全42市町村で活動の主導役となるコミュニケーターを各市町村が選出し、コミュニケーターを中心に多様な手法で「推し」を選定しました。次に、日比野克彦文化祭総合プロデューサーが制作・監修した推しのデザイン画をもとに、令和6年4月から8月末までの間、各市町村で制作ワークショップを開催し、美濃和紙や竹等を使用し、竹の組上げ、和紙の色塗り、竹組みをしたオブジェへの電球の取り付け・和紙の貼り付けの工程で制作を進めました。完成したスタチューは、文化祭開会式の会場に集結し、開会式の進行に応じて明るさを変えるなど、会場を彩りました。
尚、活動状況はSNSで発信したほか、各種マスメディアでも取り上げられ、文化祭の開催機運の醸成に寄与するとともに、文化祭閉会後も、継続して地域の推し文化の発信などに取り組む地域があるなど、活動の目的を達成することができました。
岐阜県全42市町村の住民が、それぞれの地域に眠る文化を掘り起こし、美濃和紙と竹を使って行灯型のオブジェを創り上げたこのアートプロジェクトは、子どもから高齢者、学校や特別支援教育、市民ボランティアまで、多様な人々が一つの目的に向かって心を重ね、創作を通してつながりを回復していくという社会的な奇跡を生み出しました。延べ2,500名以上の参加者と130回を超えるワークショップ、再利用可能な素材の工夫など、実践の深度も高く評価されます。(蜷川有紀選考委員)